無線LANに関する技術講座(No.2)
●アマチュア無線の経験から生まれたユニークな方式 〜Dynamic
TDMA〜
ROOT社の無線ルータRTB2400のDynamic
TDMA方式は、なかなかユニークなアイデアです。TDMAは時間軸を分割して帯域を共有する方法であることは、既にご存知ですよね。この方式では、タイムスロットを幾つに分割してどの局が何番目のタイムスロットを使うか予め決めておく必要がありますが、Dynamic TDMAでは常にルータ同士が固有の情報を交換し合うことで、タイムスロットの数やどのタイムスロットを使うかなどを動的(Dynamic)に更新して効率をよくする方式です。これは、元々アマチュア無線での経験を基に、一元管理が困難な自立分散型の無線ネットワークの構築などに有効な手段として開発されたものだそうです。
「Dynamic TDMA アルゴリズムの研究」
http://www.root-hq.com/~hmano/p98doc.pdf
●ネットワーク管理が楽になる便利な仕組み 〜レイヤ2自動経路制御〜
RTB2400は、無線側のデータリンク層(レイヤ2)に独自の動的経路制御機能を実装しているのが特徴で、アマチュア無線(PRUG)のrnavidが行っているようなネットワーク層(レイヤ3)での動的経路制御技術とは本質的に異なるものです。つまりRTB2400の場合、無線空間の経路テーブル(rsroute)が独立に存在しており、ここではルータ自身のSIDが使われています。SIDは、イーサネットのMACアドレスと同じように48ビットの2進数で表され、物理的にユニーク(唯一)な番号です。この経路テーブルは、中継局(Receive)と受信局(Destination)のふたつのSIDの二次元配列で構成され、受信パケットが自局宛でなければこのテーブルの受信局を参照し、該当するものがあればその中継局へパケットを転送する仕組みになっています。