ペットボトルロケットとは
清涼飲料水などのカラになったペットボトルに水と空気を入れると100メートル以上も飛んで行くペットボトルロケットを皆さんはご覧になったことがありますか?、そもそも このペットボトルロケットは埼玉県の狭山カヌークラブのメンバーが考案したと聞いています。海外ではカヌーで転覆した人を助ける際、火薬を使ったロケット弾にロープを付けて救助しているようですが、日本国内では法律の規制上、火薬を使うことが容易ではありません。そこで、メンバーの発案でロケット本体に炭酸飲料水などで使われているペットボトルの空き容器を用い、火薬の代わりに水と圧搾空気を使うことにしました。この救助ロケットをカヌー教室で発表したところ、救助具としてでなくロケット単体として注目されその後改良を重ねて現在のペットボトルロケットが誕生しました。このようないきさつから、ペットボトルロケットの団体として日本ペットボトルクラフト協会が埼玉県狭山市役所内に設置されました。現在では国内と海外に数十の支部ができおり、各支部主催による製作講習会や公式の打ち上げ大会などが全国各地でおこなわれています。私の所属している福島・白河支部でも地域の小学校や公民館等からの要請により、主に親子参加型の製作会と打ち上げ会を実施しています。これから製作講習会、打ち上げ会を指導する方々のために今までの経験をもとにいくつかお話したいと思います。
ロケット製作における注意点
製作講習会は会全体をまとめる説明指導者と各チーム(グループ)のお手伝いをする製作指導者を割り当てて進めてください。製作者には家族や仲間で2〜5人くらいのチームを作ってもらいます。製作指導者は1人につき3〜4グループ程度がちょうどいいようです一人の指導者で多くのグループを指導すると目が行き届かず、間違った作り方をしたり、工具でケガをすることがありますので指導者の人数確保には余裕を持ってください。ペットボトルクラフト協会では製作指導者の育成のために認定指導者講習会を開催していますので最寄りの各支部等へお問い合わせの上受講されることをお勧めします。ペットボトルロケットの作成手順等の詳細は紙面の都合上ここで説明いたしませんが、後でご案内いたします公認書籍や、インターネットのホームページにも詳しく説明されていますので、それらを参考にしてください。製作方法、手順は必ず守っていただき、楽しい教室になるよう進めてください。ペットボトルを加工してロケットを作り上げるわけですから、道具としてカッターナイフ、ハサミ、ホチキス、専用のローラーなどを使用します。できれば協会認定の工具を使うことをお勧めします。それぞれ正しい使い方をマスターしていればケガなどの心配はないのですが、使い方を間違えると思わぬケガをしたり周りの人に迷惑をかけたりしますので十分気をつけるよう、こまめに指導してください。製作会では、それぞれの道具の使い方までは指導しませんが時として教える場合もあります。小学校低学年生にカッターナイフを持たせると一度もカッターナイフを使ったことのない子供たちが必ず数人はいます。切る道具と知っていても使ったことがないようで、刃の背の部分で切ろうとしたり、突き刺しながら切ろうともします、笑い話でなく一度も経験したことがないので無理もないですね。また大人の方々の中にも、不必要に刃を長く出して使っている方が多いですね。見ていて、刃が折れて周りに飛んでいかないかドキドキものです。こういった場合はすぐに指導してください。カッターナイフの刃は1〜2センチ程度出せば十分です。ダミータンクを作る際はカッターナイフを固定して、ペットボトル本体を回しながら切るのが安全です。切り方のコツさえ覚えれば、力のない子供達でも簡単に切ることが出来ます。ハサミで切ったペットボトルの切り口は切れやすいですから触る時には注意するよう指導してください。ホチキスで固定する場合は指の力が必要です。大人の方にお願いしてください。翼を作る際は2枚に折って重ね合わせ、のりしろの部分をホチキスで止めます。ホチキスの針のデコボコでケガをしないようローラーでなめしますが、子供達はどうしてもおもちゃの代わりにして転がして遊んでしまいます。金属製で重量もありますのでぶつけたりしたら大ケガのもと、振り回しているような子供達がいたら即座に注意してください。製作会の時間は3時間程度を見込めば十分でしょう。大体のチームが完成します、進み具合の遅いチームにはちょっとお手伝をいしてあげてください。完成後基本通りに作られているか、機体が極端に曲がってないか、噴射口のキャップは締まっているかホチキス、テープの接合部分は大丈夫かなど指導者が一機ずつ念入りにチェックし、問題がなければ機体に合格印を書いてください。また、機体に自分の名前や絵など目印になるものを書くと打ち上げ会で機体を間違えることが少なくなります。
打ち上げ会の注意点
子供達は出来上がったロケットをすぐにでも飛ばしたい気持ちでいっぱいです。しかし、時間的に余裕があれば昼食や休憩を取ってから行ってください。さて、いよいよ打ち上げ会です。ロケットの飛距離は100m以上になります。学校の校庭などが適しています。一般の公園などは参加者以外の方々が入って来ますので、あまり適しません。会場選定は十分考慮して安全確保につとめてください。指導者側が準備するものは水の入ったバケツを複数、空気入れ、発射台、修理用の工具とビニルテープなどです。打ち上げ会指導者の配置は打ち上げ指導者と助手、ロケット落下地点に数人を配置してください。打ち上げは4〜5チーム同時に行えるよう列を作って並べせてください。空気入れのポンピングは参加者全員が大きな声で数えてください、公式大会の規定では40回ですが、会場が狭い場合や強風の時は回数を制限してください。ポンピングは大人の方が手伝うようにしてください。打ち上げ直前、ロケットの後ろに人がいたら水がかかることを説明し離れるように指導してください。また、着地点に子供達が立ち入っていないかも確認してください。ペットボトルとはいえ着地時の衝撃は相当なものです。安全には十分気を配ってください。打ち上げは指導者のカウントダウンに従うようにしてください。子供たちがざわついている場合は即カウントダウンを中止して、発射台を見るよう指導してください。ケガをしてからでは手後れになりますからね。指導者は細心の注意を払ってください。5、4、3、2、1、ゴーの掛け声でロケットが勢いよく飛んでいきます。機体が着地したら自分が飛ばしたロケットを取りに行くよう指示してください。大体はロケットが着地する前に子供達もロケットを追いかけるように走り出しますが、必ず全機が着地したのを確認してから取りに行くよう指導してください。機体によって飛距離、方向がまちまちです。飛んでいる機体を良く見るようにしてください。一度飛ばすとロケット本体にへこみや、接合部のはがれが生じます。一度だけの飛行では子供達も納得しません。このような時は指導者の一人が修理を担当してください。子供達から感謝されること請け合いです。着地点付近に人がいなくなったら次の打ち上げを開始します。これを繰り返し繰り返し子供達が満足するまで行ってください。いつのまにか子供達より大人達が夢中になってしまいます。打ち上げ会が終わる頃、子供達の笑顔と大人の方々の笑顔でいっぱいになることでしょう。
参考書籍等のご紹介
関連書籍等が全国の本屋さんなどで販売されています。
『ペットボトルロケットを飛ばそう』
出版社:ダイナミックセラーズ出版
『ペットボトルロケットのつくりかた』
出版社:英知出版
『完全図解ペットボトルロケット講座』
出版社:双葉社
インターネット支部
http://www.propel.ne.jp/PCA.JAPAN/
日本ペットボトルクラフト協会
電話番号0429−69−1710